【金融再編】火中の栗を拾え?CRM構築プロジェクト(前編)

倒産しかけた会社の経営再建プロジェクトの任務をなんとか完了し、ほぼ燃え尽きた私は、息もつく間もなく、異動になりました。

味方と思っていた人から爆弾を投げつけられた悪夢のような経営再建プロジェクトの話をまだ読んでない方は、まずこちらから↓↓↓

2-8.アツすぎる!2人のトップ

私が勤めていた会社は、金融再編で、他の会社と合併が決まっていました。

異動後の私の新しい任務は、合併後に利用する法人営業システムを開発・導入・運用するプロジェクト・リーダーです。

当時、一般的には、CRM(Customer Relation Management, 顧客関係管理)と呼ばれていました。

新システムの運用開始まで猶予はすでに1年を切っていました。

人事発令は、法人営業部門と情報システム部門の「兼務」。
異なる部門の上司が2人いて、2人の指示を同時に実行しなければならないポジション。

「うまくやってちょうだいね。幸運を!👼」
天からそんな声が聞こえたようでした。

もし、2人の上司から矛盾する指示を受けたら、板挟みで身動き取れなくなります。

噂によれば、かつてこの案件に関わっていた先輩が、情報システム部門に肩入れしすぎて、法人営業部門トップの逆鱗に触れ、飛ばされたとか・・・

その理由はすぐにわかりました。

法人営業部門のトップは、バリバリの凄腕営業マン。収益目標必達への執念は、数々の武勇伝で、語り継がれていました。

会った瞬間の目付き🔥🔥🔥が違います!

一方、情報システム部門のトップは、業務をシステマティックに進め、そもそも「売らずして売れる」仕組みを作るべきと確固たる信念をもった紳士。

理路整然としたクールな口調とは裏腹に、時おりアツい想いが煮えたぎり、信者となった部下が布教活動をしているとの噂。踏み絵の儀式があるとかないとか?!

この2人が上司とは・・・

火中のクリを拾いにいくようなもの。

燃えさかる炎の中で、股割きの刑に処されるのは、何としても避けなければいけません。

「兼務」発令の本当の意味とは、2つの部門の利害調整役でした。

実は、当時の情報システム部門は、どの大企業も大きなジレンマを抱えていたことを、調査部門にいた頃から私は知っていました。

半導体生産技術の飛躍的な革新とインターネットの発展により、コンピュータのデータ処理能力とネットワーク通信容量が、毎年倍々ゲームで急上昇していました。

かつて汎用コンピュータは高価であったため、基幹業務に関わる限られたデータしか処理できなかったのですが、大量のデータを安価に処理できるようになっていたのです。

AmazonやGoogleのようなインターネット企業が急成長していました。

2-9.「使えない」システム

こうした背景の中、各大手企業の情報システム部門は、自ら旗振り役となって、業務プロセス改革を進めるのですが・・・

情報システム部門が主導するプロジェクトは、高い確率で失敗していきます。

その理由は簡単です。

情報システム部門は、業務内容をよくわからないまま、まずシステムありきで開発を進めたために、フタを開けてみると「使えない」システムができてしまったのです。

「こんなシステムを作ったので、業務で使ってください」では、現場から「こんなシステム、使えねぇ!!!」とクレームが殺到してしまいます。

その情報システムの開発にかかった資金をドブに捨てるどころか、現場の混乱からお客様の不信を招き、将来得られるはずだった収益をも失ってしまいます。

そこそこ使えるシステムを作る秘訣は「こういう仕事をするので、それを実現できる業務システムを作ってください」と、業務部門から情報システム部門に発注することです。

「こういう仕事をする」と決めることを、専門用語で「業務要件定義」といいます。

私の上司の1人である情報システム部門のトップは、合併の機会を活かし
飛びっきり高品質な新システムを開発してやろう!
とやる気満々だったのでしょう。

そこで業務部門に「新会社では営業をどのようにしますか?」と聞きます。

でも、返ってくる答えは
「どのようにといわれても?? 営業は営業だよ」
「断られてからが、本当の営業」
「まず1日の訪問件数を増やせ!」
「営業は気合いだ!」
「根性で決めてこい!」

営業ができる人は、嗅覚でどの案件が成約できそうかを嗅ぎ分けて、お客様の反応を見ながら、臨機応変に対応しているうちに、売れちゃいます。

営業実績で評価されるので、どうやっているかを説明する必要はほぼありません。

あるとすれば、自分の部下に教えるときくらいでしょうか?

事実、前にいた営業店で、私はダントツトップの営業実績を上げました。

でも「なぜ、できたのか?」「どうやったのか?」を聞かれたことも、説明したこともありません。

また、変な話、売れる営業パーソンは、同僚との競争もあるので、そのノウハウを積極的に開示する動機もありません。

売れる営業がどのように仕事をしているのか?

もし、その秘密を解き明かさなければ・・・

「新会社の営業システムの開発はできない!!」

私が着任した時、情報システム部門は、そんなジレンマに陥っているのだろうと想像できました。

つまり、法人営業の業務要件を定義できる人材がいなかった・・・

情報システム部門がやろうとしたけど、法人営業部門の同意をたぶん得られなかったのでしょう。

一般的に言えば、新しい営業システムを作るときは、営業のベスト・プラクティスをまず探すのが定石です。

ベスト・プラクティスとは、最も売れている営業パーソンが、実際に行っている営業のプロセスです。

具体的にどういうプロセスで案件を成約しているのか? なぜそのプロセスなのか? 平均的な営業パーソンとどこが違うのか? などを調査・分析します。

そして、普通の営業パーソンでも今よりも成約率を高められる標準的な営業プロセスを決めてモデル化し、営業システムの企画・設計へと落とし込んでいきます。

こういう営業システムのサポートがあると、たとえ新入社員でも、具体的に何をすれば売れるのかがわかります。

営業パーソンを教育・戦力化するまでの時間を短縮でき、人件費が下がる一方で、成約件数が上がるので、営業部門全体の収益を飛躍的に底上げできるようになります。

人間には向き不向きがあるので、それでも営業成績が上がらない人は、適材適所で別の仕事に異動した方が、会社にとっても社員にとってもお互いにメリットがあります。

2-10.営業のシステム化が難しい理由

しかし、当時の営業部門の人達の間には、情報システムが大事という認識はほとんどありませんでした。

情報システムはインフラです。水や空気と同じです。

意識せずに使えて当たり前です。

「水や空気を作るから、仕事のやり方を教えて」
と聞かれても、何と答えたらいいのか、ピンとこないのです。

情報システムがないと困るのは理解できても、情報システムを使いこなせば、営業成績が上がるという発想は希薄です。

さらに、机上の空論では、説得できません。

「それほどいうなら、お前が売って証拠を見せてみろ!!」

と、心の中では思うでしょう。論より証拠です。

このブログの読者のように、マーケティングや営業に興味がある方なら、おわかりと思いますが・・・

ニーズ(必要性)はあるが、ウォンツ(欲求)がない。効果を期待されていません。

この状態で、情報システム部門が営業部門に新しい情報システムを開発・導入しようとすると、「押し売り」になってしまいます。

なんと! 営業部門に「押し売り」!!😱 

押し売りされると、直感的にわかるので、抵抗を生みます。

「水と空気さえあれば、あとは自分たちでやるから、うるさいこといわずに、とっとと水と空気をよこせ!」

このように認識のギャップがあるのは明らかでした。

そのために、私の2人の上司の間には、妙に緊迫した空気が漂っていたのです。

さて、どうしたものか?

何か新しいことを始める際に、わからないことがあるなら、最初にやるべきことはリサーチです。

不確定要素をすべて洗い出し、一つ一つつぶしながら、判明したリスクに対策を立ていくのが、遠回りのようで早道です。

そこで、新しい法人営業システムの利用者となる本部の各部署にヒアリングすることにしました。

お客様への営業と違い、社内なので、電話1本でアポはとれます。

挨拶周りを兼ねて、各部署の要望を聞いていきます。

まず、新会社の法人営業システムの開発プロジェクトがあることを、関係者に知ってもらわなければなりません。

そして、要望を聞くことで、新しい法人営業システムと自分たちには利害関係があることをわかってもらいます。

つまり、要望を出して、新システムに反映されれば、その部署の利益となる一方で、今、要望を出さずにスルーすると、その部署の不利益になることを伝えます。

これで、新しい法人営業システムに少しでも興味を持ってもらう種をまきました。

そして、集まった各部署の要望リストを見ると・・・

すべて想定内でした。

予想した通り、新営業システムには、あまり興味もなく、こだわりもない感じです。

一方、足を引っ張ろうする抵抗勢力は見られず、利用者側がこっそり地雷をしこんでいる可能性はなさそうでした。

まずこれは朗報です!

少しずつまいた種を育てて「ニーズ」を「ウォンツ」に変えていけばいいからです。

一方、このプロジェクトが暗礁に乗り上げる最大のリスクは、法人営業部門と情報システム部門の2人のトップのアツすぎる想いがこじれて・・・
「そんな営業情報システムはいらない!」
「そんな営業情報システムは作らない!」
と、お互いにキレてしまうことと予想されました。
どちらかが、ヘソを曲げたらおしまいです。

担当者レベルでは、2つの部門の利害調整をできなくなります。

その結果、もし合併期日までに新システムが完成しなければ・・・
営業店の現場が混乱し、お客様にご迷惑をかけてしまいます。

実際、合併した同業他社でシステムトラブルが発生し、社会的な影響が出た事例がありました。

それだけは何としても避けなければなりません。

その前のプロジェクトで、すでに人間関係でボコボコになっており、何かあれば退職する覚悟はできていました。

万一、失敗したら、責任をとって辞職しよう・・・
それで、プロジェクトを継続してもらい、お客様にはご迷惑をかけないようにしてもらおう。

うまくいけば、今までお世話になった会社に少しでも恩返しできるラスト・チャンスかもしれません。

もう時間がありません。

腹をくくるしかありませんでした。

実は「営業」に対するトップ2人のアツい想いを引き裂きかねない本当の原因は、もっと別のところにありました。

本当の原因とは・・・

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